徒然なるブログ

日々のことを書いています。

友人と詩

普段の生活を送っているとバタバタしていて、

なかなかしみじみと芸術や文学に触れる機会はありませんが、

道を歩いていたり庭に出たりした瞬間に ふと

若い頃に読んだ詩や和歌や俳句を思い出すことがあります。

 

真夏のような日が続く今日この頃、

私は一編の詩を思い出しました。

 

 

『白い雲と地平線、

電柱と鉄塔とが先へ先へと続いている。

明るい、輝かしい道、

太陽の下の一本道、

この道を僕は行くのだ。』

 

 

この詩の季節は特に言及されていませんが、

私がこれを読んで思い描くのは決まって

真夏のノスタルジックな田舎の景色です。

 

真っ青な空には入道雲があり、

道端にひまわりが咲いていて、

両脇にはとうもろこし畑が広がり、

蝉の声が響き渡る…

そして前途は光に充ち満ちている。

 

そんな希望と力強さを感じさせる詩です。

 

 

私がこの詩を知ったのは

ある友人がきっかけでした。

 

幼い頃から明るく元気いっぱいだった友人は、

世界中を駆け回り、たくさんの人と絆を育み、

まさにこの詩のように輝かしい道を歩もうとしていた矢先に、

突然この世を去ってしまいました。

 

達筆だった友人が書き写したこの詩は、

お別れの会で配られたものです。

(友人の明るい人柄を慮り、お葬式ではなくお別れの会が開かれました。

北原白秋の詩だそうです。)

 

 

この詩を思い出すたびに、

友人が歩むはずだった力強く明るい道を思い、

なぜ友人が突然希望を断たれなければならなかったのか、との思いと共に、

自分の人生には道が続いているのだということを

思い起こします。

 

日常に忙殺されている日々の中、

時に「友人に恥じないように生きなければ」と

律してくれる詩です。

 

そして次の世代の人々が、

この詩のように希望をもって生きていってくれるといいなと

感じます。